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Channel: うつぼ の 不可逆的(裏)ぶろぐ
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the GazettE【DOGMA】#2 DOGMA /One's 歌詞解釈

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One's 歌詞解釈
the GazettE 8th Album
『DOGMA』
#2 DOGMA/ 教義



華やかな世界 腐敗した裏の顔
音楽が売れなくなったことが元凶なのか
商業主義の生贄 消えていく同業者(バンド)

あらゆるものを否定しよう
その全てを否定する・・・その全ての価値をだ

「闇の教義」に基づき
あるべき姿を求め孤高の生き方を貫こう
そこにこそ俺らの求める真実(おんがく)があると

商業主義に踊らされる末人が 志あるものを喰い潰す
俺らは干渉を排し自分たちの理想を追求する

理念を体現するため (業界の)掟に背き群れから外れる
オレは「脳死した神」
外界からの指図を受けない存在となるのだ

社会から隔絶した未来が待ち受けようとも
「闇の教義」を貫こう
虚構の自分を演じその末路を確信した

「売れたい」欲望の果てに
使い捨てられていくバンドを見てきた
自分の眼に間違いはない

[罪] とは(群れから外れることか)
群れ集まり操られる”音楽たち”
膨れ上がる憎悪
愛していた人々さえも哀しい存在になってしまった。
[罪]とは (音楽への冒涜)
(おのれ)の生き方を忌み嫌え
群れ集まる傀儡たちよ
嫌悪感が膨れ上がるばかりさ

業界の牙城を切り崩さん※ 我が音楽生命と引き換えに

数え切れぬ声よ、HERESY(鬼たち)
我の指し示す道へ導かれよ
我らと共に「闇の教義」を掲げ
美しき死に様を見せよう

この世を「漆黒の闇」に染めてみせよう
究極の「(おと)」をもたらさん※
今宵、創世の時が来たれり



歌詞リンク
※うたてんさん (あい)してるが (かな)してるになってる!!
直してちょうだい!
(笑)



補足説明および雑感など


■タイトル DOGMA/教義

語義「DOGMA」(ギリシア語)
① 宗教上の教義・教理。
② (否定的に)独断的な説。教条。

ギリシア語では元来公的機関の政治的決定もしくは命令を意味し,さらに哲学上の諸学派の学説をもさした。教義,教説などと訳され,固定された堅固な信条をいう


「DOGMA」の歌詞からすると「DOGMA」よりもむしろ所信表明の意味をもつ「Doctrine」の方が妥当かもしれない。

しかし「DOGMA」という宗教用語を使うことで音楽を「宗教的なポジション」に据える意図を表していると言えよう。

※「ドクトリン」
政治、外交、軍事などにおける基本原則、基本戦略をいう。"

(余談)
宗教特にキリスト関連の著述を読むとやたらこの「ドグマ」という言葉に出くわす。元はギリシア哲学あるいはそこからキリスト教の概念として用いられたが、経済学あたりでも用いられる。どの分野でも観念的な内容になるので、実体がつかめないまま「大事にしている何かなんだろな」ともやっとした認識のまま数十年。まさかthe GazettE の歌詞でぶち当たるとは思わなかった(笑)
元の意味を少しでもクリアーにしたい場合は英英辞典などを参照すると、その言葉の背景を感じられるかもしれないです。
http://www.dictionary.com/browse/dogma



■題材/モチーフ

the GazettE のこれからの音楽活動への信念

「自分たちが自分たちであるための信念を描きました」
RUKI GiGS 2015年10月号


RUKI:絶対的な存在として自分たちを確立させる"教え"というか。アルバムのコンセプトというよりは、気持ちの面でのコンセプトという方が強いですね。
『激ロック』インタビュー
https://gekirock.com/interview/2015/11/the_gazette.php



■主題/テーマ

the GazettE の音楽的ニヒリズム宣言「闇の教義」

今の音楽業界の「売上至上主義」的なシステムに反旗を翻し、音楽生命を賭し他者からの干渉を排し自分たちの音楽を創ることへの所信表明するもの

(参照)the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館

代々木の漆黒の冒頭「NIHILからDOGMA」へのエンドでゴシック建築の教会の画像が上下が反転し、「漆黒」の文字が浮かび上がる。つまり2016年代々木の「漆黒」ライブは代々木大聖堂に集まった信者HERESYへの「権威を覆しわが道を歩む」という決意を表明する前年からのDOGMAツアーの総括の場となっていた


■背景/バックボーン

音楽業界の不振により自由な制作が一層厳しい環境にあった

(参照)the GazettE 『DOGMA』関連する楽曲
▼#03 RAGE/激情
レーベルとバンドとの軋轢
 https://ameblo.jp/utu-bo/entry-12222202644.html

▼#04DAWN/黎明
2013年再定義ツアーから13周年武道館公演までの経緯と心情
https://ameblo.jp/utu-bo/entry-12203470986.html

▼#12 DEUX/双極
厳しい音楽制作環境のなかで自分たちが選ぶ道とその選択理由
 https://ameblo.jp/utu-bo/entry-12138396524.html


■ざっくり解釈

商業主義に走る音楽業界
金儲けのツールになって消費され使い捨てられていくミュージシャンたち
魂を売り渡し、飲み込まれたも奴らが信念ある音楽家たちを踏み台にしている
「商品」としての音楽ではなく自分の「理想」としての音楽を創ることを我が教義としよう
それは不可侵とされてきた業界の牙城に立ち向かうことになる
この選択は我々の音楽生命が断つことになるかもしれない
たとえそうなったとしても新たなる価値(おんがく)を創成してすることにこそバンドとしての価値がある
だからこそ我々はそれを「教義」として宣言する

■the GazettE のDOGMA「闇の教義」

「DOGMA」の「教義」とは「闇の教義」である
すなわちそれは「音楽(業界)に対するニヒリズム」にある

I deny everything
I deny all of it(I deny all of it)
あらゆるものを否定しよう
その全てを否定する・・・その全ての価値をだ


非常にわかりやすいというか、そのままである

上記以外に同様の内容表す表現が散在している

▼ニヒリズムを表す「闇」の共起表現
闇を纏い
「混ざらぬ黒」で塗りつぶす
地を這う未来 闇と舞え
闇と成り飾ろう
I will blacken out this world
Darkness in the world


これらの表現にある「闇」「混ざらぬ黒」「blacken out」「Darkness」を「闇の教義=ニヒリズム」に置き換えると理解しやすい

(参照)

■the GazettEが目指す 能動的ニヒリズムによる「超人思想」とは

the GazettE の「DOGMA」は能動的ニヒリズムによる「超人思想」に立脚し、下記を宣言する内容となっている。

  • 志を見失い弱気な心(ルサンチマン)に陥っている業界の因習に立ち向かうこと
  • 自分たちの音楽がだめになってもよいから、次の世代に受け継がれる価値ある音楽を追求すること(永遠回帰の思想)

    ■the GazettEが目指す 能動的ニヒリズムの詳細については下記「#1 NIHIL」に別記する



    ■語彙その他

    ▼孤高
    個人の社会生活における1つの態度を表し、ある種の信念や美学に基づいて、集団に属さず他者と離れることで必要以上の苦労を1人で負うような人の中長期的な行動とその様態の全般を指す。迎合主義の対極に位置する。芸術家や指導者に多く存在する。
    (反意語) 迎合

    ▼儀
    あるべき姿
    辞書的意味【 儀 】 [音] ギ
    ①のり
    ㋐正しい行い。作法。 「 儀式 ・儀容 ・威儀 ・容儀 ・礼儀 」
    ㋑きまり。おきて。 「 儀典 ・儀法 ・律儀 」
    ㋒てほん。模範。 「 儀表 」
    ②式典。ぎしき。 「 儀式 ・婚儀 ・盛儀 ・典儀 」


    ▼理念
    古代ギリシアの哲学者プラトンの根本概念「イデア」の訳語の一つ。理性によって得られる最高の概念をさす

    ▼体現
    思考や理念などを具体的な形として表すこと。身をもって実現すること。具現。 

    ▼a brain-dead god
    脳死した神=外界からの干渉を受け付けない存在の比喩

    ▼神
    不可侵とされている音楽業界のしきたりやしがらみ

    ▼[Crime]
    (英語)犯罪
    Sin: 宗教上・道徳上の罪(罪業)
    Crime:法律での罪(犯罪)

    [罪]とは・・
    "なにを罪とすべきなのか
    業界のシステムに抗うことが罪なのか
    音楽を冒涜する商業主義こそが罪なのではないか

    ▼数えきれぬ声よ手の鳴る方へ
    ◯手の鳴る方へ
    日本の子供のあそび「目隠し鬼」で使われる掛け声「鬼さんこちら手の鳴る方へ」が元になっている。

    ここでいう鬼はファンクラブHERESY(異端)を差し、自らの信念に賛同するファンへの呼びかけている
    すなわち「数え切れないの声のHERESYたちよ手の鳴る方へ」となる

    同時に業界のシステムに対する反逆者、反骨精神を表明したthe GazettE 自身も「鬼」の総頭として含めて考えることもできる。

    ※「手の鳴る方へ」の表現
    the GazettE の歌詞で時々使われる
    THE TRUE MURDEROUS INTENT

    ▼闇と成り飾ろう
    有終の死を

    「有終の死」は「有終の美」をもじった言葉で、「闇と成り有終の死を飾ろう」の倒置になっている。※
    その意は「己の信念を貫き通し、美しき死に様を見せよう」となる。
    (補足※)元の慣用句【有終の美を飾る】
    物事を最後までやり通し、立派になしとげること

    ▼I will blacken out this world
    blacken out 完全に塗りつぶす

    (参照)インタビューでOMINOUSをホワイトアウトの状態(虚脱状態)としているのでその対極としてのブラックアウトという表現を用いている可能性がある。

    ▼Darkness in the world
    音楽的価値観すべてを「ゼロ(始点)」に戻すのではなく、「無∅」とすることから創出する音楽

    (補足)
    ※末人:目的を持たず、創造性を欠いた安楽に耽溺する軽蔑すべき者(「超人」の反対に位置する)

    ※崩さん、もたらさん
    「ん」は否定の「ぬ」ではなく「む(意志)」の撥音便。本来「崩さむとす」「もたらさむとす」とすべきだが、リズム的に省略してます。


    ■雑感 

    時代の変化についていけていない日本の音楽業界の構造がアーティストの足かせになっている現実

    中世キリスト教教会がが信仰のための教会聖職者たちが信者たちから巻き上げる場にかわってしまったように

    音楽業界が音楽とアーティストを支えるためのものからアーティストからやりがいを搾取するものに成り下がってしまった感が否めない

    海外の音楽業界が配信へと移行しているなかで
    CDが普及し音楽をビッグビジネスに変えミリオンセラーを生んだ90年代からのやり方に固執していたのが2015年時点の日本の音楽業界(音楽によらず、書籍なども同じことが言えるが)


    日本の企業はなにかにつけて判断が遅い。
    現場にいる人間は身にしみてわかっていても
    トップダウンで動く大企業はなかなか意見が通らないところが問題なんだろうなぁ


    『DOGMA』リリースから3年 変動する音楽業界


    ガラパゴスと言われていたCDの売上を基準してきた日本の音楽業界も変わりつつある

    オリコンランキングの評価基準の変更
    SONY Spotify株の取得
    アップルダウンロード廃止(予定・外部要因)

    素人目にもわかるレベルで変わらざるを得なくない状況になってからようやく上層部も動き始めた感


    この3年で音楽業界も変わったけど

    the GazettE 自身の内面もいろいろ変わっただろうし 
    今後はどうなるかわからないよね

    DOGMA自身も
    墓に埋める可能性だってあるんだろうと。。






    「NINTH」発売1ヶ月前なので「とりあえず的な」ものです

    ホントは5/10までに仕上げようと思ったけど
    腱鞘炎が再発しちゃって延期につぐ延期で今日は(仮)投稿
    まとまってないので腱鞘炎がひいたら直します


    grazie


    DOGMADOGMA
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