先日観てきました
マシュー・ボーンの『シンデレラ』日本公演2018年10月3日(水)〜14(日) 東急シアターオーブ
演出・振付:マシュー・ボーン
音楽:プロコフィエフ
出演:ニュー・アドベンチャー
バレエ界の奇才 マシュー・ボーンの傑作が日本初上陸!
あの「シンデレラ」の舞台を戦時中に設定した
斬新かつスリリングで刺激的なラブストーリー。 7月から先行発売されていたチケットですが、直近に見に行くことを決めたので初日のSSチケははけていました。平日の昼間を狙って、無事2階席SSで見ることができました。
(2階席最前は演劇関係者の姿もちらほらお見かけしました。ホリプロのアイドルの卵の女の子も演出家っぽい年配の男性と来ていて、こういう風にいろいろ見せて育てているんだなぁと)
前回マシュー・ボーンを見たのは2014年のアダム・クーパーの「SWAN LAKE」以来の4年ぶり
※2016年の来日公演「眠りの森の美女」は都合が合わず観ていない。今回のマシュー・ボーンの「シンデレラ」も「SWAN LAKE(白鳥の湖」同様、ストーリーは童話版ではなく、現代版に作り変えられています。
あらすじなどはこちらの記事がわかりやすく紹介してくれています。
レポにあるように「歌のないミュージカル」。歌でなく踊りで表現するミュージカルなので、バレエファンでなくても、楽しめるんじゃないでしょうか?
個人的にはもっと踊りを、バレエを堪能したかったかなというのが本音です。(笑)
いや、この表現だと誤解を生みますね。
バレエで、踊りもたっぷりだったんですけど、ロングドレスの衣装が多くてバレリーナの脚が見えない。「せっかくの脚の美技が観たかったかな~」というのが本音。ドンキのキトリのヴァリとかが好きと言ったらわかってもらえるでしょうか?脚フェチを自覚しました。(笑)
「バレエを見に来たのに踊りが少ない 真ん中のソファーが邪魔 踊るスペースがない セットが多すぎ !「世界観を作り込みすぎてやりづらかった」というどこかのバンドの -UN- TOURじゃない~ww
(TOUR途中で仕様変更してセットを減らし、DUEではシンプル化した)1幕終わりにやっと見ごたえのある踊りがきた~と思ったら幕。2幕目もまた盛り上がったろころで幕。次第に積もるフラストレーション
(注)三幕構成、各幕40分、第一幕、第二幕の間に15分の休憩を挟む)「もっと踊りが、バレエが観たい~!ダンサーの無駄遣い! バレエを観に来たのに、歌のないミュージカルを見せられても (;・∀・)・・・・
と まあ、色々文句たらたら眠い目をこすりながら見てました。でも 第三幕に落としどころが来て「あ~、なんだこういうこと~!?」ってすとんと胸に落ちるものがきて、スッキリ!
そうだバレエは3幕が盛り上がるのがデフォルト。久しぶりにバレエを見たからを忘れちゃってたww SEから盛り上がる・・・なんなら公演の注意アナウンスから盛り上がっちゃう強めのライブに慣れ過ぎてすっかりバレエの構成を忘れてた。
■マシュー・ボーンが描く剥き出しの人間性
第一幕、第二幕に感じたあのモヤモヤの正体は「抑圧された市井の人々の 機微、心の葛藤」を描いているんだろうか?
(文章化するとくどくなるし、需要がないので箇条書きメモ)(人間関係)継母やままでにいじめられるシンデレラ
(世相)第二次世界対戦の戦火の中の陰鬱 イライラ、荒んだ心
(セクシャリティ)LGBT
マシュー・ボーンが描くバレエにはグリム童話に基づく古典版にはない、日常の生活感に息づく生きる人間の本能を描きだしているのが特徴なのでしょう。
■上品かつフラットなセクシャリティ
◯大人な場面
SWAN LAKEにもあったベッドシーン と思わせる場面 。
◯LGBT
ゲイのカップル ビアンのカップルがさらっと日常の世界に登場していて、マシュー・ボーンにとてLGBTは外せない要素なんだなと理解。
どちらも気づく人には気づくという踊りとしてのの表現。セクシャリティというのは大事なことではあるけど、我々の日常にある様々な形なんだよねっと
さらっと表現しているところがスタイリッシュ。
■スワンレイクとシンデレラ
空爆などのど迫力なシーンはあるにはあるんですが、スワンレイクほどの精神的なスケールの壮大さは感じられなくて、残念に感じるところもあったんですが、この「シンデレラ」は戦時下に暮らす人々の日常にある感情を描き出すもの。白鳥のような深層に迫る内的描写はないものねだりなのかなぁ~っと。(演者による違いもあるのかもしれない)
■マシュー・ボーンの卓越した演出
マシュー・ボーンの卓越した演出は周知のことで、詳しい方が多数発信してらっしゃるですけど(下記IG参照)、個人的に目を引いたのは第三幕の病院のシーンです。
◯第三幕病院のシーン
第三幕の病院の病室のシーン衝立の使い方が秀逸。説明できるものではないんですけど、ダンサーが操る衝立が自由自在に病室の壁やドアや廊下を表現する。時にモーゼの十戒の割れる海を思わせる流れもあり、息を飲む使い方に魅せられました。
(前席の演劇関係者の方が食い入るように観てらしたのをチラ見したり、衝立を運ぶ白衣姿医師役の長身ダンサーたちがハロウィンのアビスの葵さん※に見えて仕方なくてニヤニヤしながら観ていたw)※the GazettE 『HALLOWEEN NIGHT 17 SPOOKY BOX2 THE DARK HORROR SHOW アビス/LUCY』◯舞台セットの変化
こまごまとした大道具・小道具に阻まれて、踊る場所のないのない舞台セットの第1幕。そこから第3幕へと場面が進むたびにセットが簡略なものにかわり、次第にスワンレイクを彷彿とさせる象徴化したセットへと変わる。
舞台装置を具象から抽象に変化することで踊りの要素がクローズアップされ、踊りが前面に押し出されるのを感じました。最後のシーンで束縛からの解放、精神の自由を描き出す光景は見る人にカタルシスを生むんだろうなぁとしみじみし。1幕、2幕のもやもやが吹っ飛ぶこの構成、マシュー・ボーンにしてやられたと ( ̄∀ ̄)b
※追記)単純にセットがオーブシアターの広さに合わなかった可能性もあるかもしれない 4年ぶりのマシュー・ボーンだったので、その世界観に入り込むのに手こずりましたが、やはり稀有な才能は接して置くべきだなっと。そして、次からはもっと早くチケットをとって間近で見ようと思いました。
※踊り的にはカーテンコールが見ごたえがあって、一番楽しかったです。
※カーテンコールは撮影可
(動画・フラッシュ撮影は禁止)
←しらない人が多すぎ今日はWOWOWで待ちに待ったポルーニンの映画がオンエア~
grazie