One's 歌詞解釈
the GazettE 7th SINGLE
reila ~Lesson.G
#3 赫い鼓動
核に焼かれた街、焼夷した野良犬
焼けただれた肌をさらし食べ物を漁る子どもの群れ
口先の救いを説くエセ救世主は語る
「死神が俺を呼んでいる」
「死神が終末の詩を歌っている」
這いつくばり泥を食らう者
「死んだ魚ような虚ろな目」
救いを語る預言者を妄信し祈ったところで
この地獄に救いの道など用意されていない
「自力で考えぬ愚者」
「 閉ざされた世界で足を引っ張り合う小心者」
核の傘の
「死神が俺たちを呼んでいる」
「死神が終末の詩を歌っている」
終焉の時がきた今 目指した場所に人はいない
ただ冷たい風とどす黒い雨が降りしきる音だけが虚しく響く
生きとし生けるものよ、魂の叫びが聞こえるか
すべての希望が見えなくなっても
自らの運命から目をそむけるな
時代が終焉の鐘を鳴らす 逃げこむ場所すらない
ただそこに転がるのは赤黒い血まみれの死体の山
肉体は朽ち果て土に帰る 多くの魂が永遠の眠りについた
その肉体と魂は一つの種となり
再生しゼロに戻った地球は 綺麗な花を咲すだろう
歌詞リンク
「赫い鼓動」
2005/3/9リリース
the GazettE(当時の表記はガゼット)
7th シングル reila「Lesson.G」
ボーナストラックとして収録
補足説明および雑感など
■タイトル 「赫い鼓動」
「赫い」の「赫」という文字は「光り輝き、炙る」という意味がある。歌詞中の「黒い雨」からこの光り輝くものが「原爆」であることが推察できる。すなわち「赫い鼓動」とは「原爆に焼かれた人々」を意味する
◯語義「赫」
(音読み) カク(訓読み) あかい・かがやく・さかん
意味①あかい。あかるい。 ②かがやく。さかんな。 ③いかる ④あつ(熱)い。あぶる。
(文字の成り立ち)
大きい火(赤)を二つ並べて、光の輝くさまを表している字。
◯「赫」隠語大辞典>太陽。〔第一類 天文事変〕
◯「赫」 Unicode入力は 16進:8D6B 10進:36203
(音読み) カク(訓読み) あかい・かがやく・さかん
意味①あかい。あかるい。 ②かがやく。さかんな。 ③いかる ④あつ(熱)い。あぶる。
(文字の成り立ち)
大きい火(赤)を二つ並べて、光の輝くさまを表している字。
◯「赫」隠語大辞典>太陽。〔第一類 天文事変〕
◯「赫」 Unicode入力は 16進:8D6B 10進:36203
■題材/モチーフ
「人類滅亡の日」by麗インタビュー from SHOXX
ルキ「いつものパターンでいくと、こういう曲だと決まった歌詞がない。もしくは英語にしておぞましい感じにしてたんですよ。でも、今回はもっと熱いものが欲しかったというか。メッセージ性というか。そこをあえて大きなテーマの歌詞にして、最近はそっち系がすきですね。
『FOOL'S MATE 2005年3月号』より
ルキ「この曲を聞いた時、日本じゃない、飢えている難民が住んでいそうな街のイメージが浮かび上がってきたんです。その場所が、絶滅寸前な印象を与えてくれたので、そのへんから想起した歌詞を書きました。さらにその中にメッセージ性も詰め込み、表現しました。」
『SHOXX 2005年4月号 vol.146』より
■主題/テーマ
戦争の最大の原因は人間の愚かしさにある
核戦争によって全てを失った人類最後の日をイメージしたものだが、反核・反戦を訴えるというよりも、火器を扱い自らを滅ぼす「人間の愚行に対する諦観」を描いていると言えよう。
同時に「自分の人生を他人にまかせるような安直な生活を選ぶことは破滅を招く。自らの意志をもって生きろ」という警告を与えている。
■背景/バックボーン
この曲がリリースされた前後に、こういう戦争に関する素材を扱う曲を制作している。
2003年「[DIS]」(ミニアルバム『犯行声明文』)
2004年「さらば」(AL『DISORDER』)
2005年「赫い鼓動」(SG『reila』)
2006年「Worthless war」(SG『REGRET』)
この時期にイラク戦争が勃発しており、日本国内ではいわゆる「イラク特措法」など自衛隊派遣に関する多くの議論が交わされていた。当時の世相を反映していると考えられる。
【イラク特別措置法】
《「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」の略称》イラク戦争後の同国の再建を支援するために、自衛隊を派遣し、人道復興支援活動・安全確保支援活動を行うことを定めた法律。
平成15年(2003)制定、平成21年(2009)8月失効
引用元 コトバンク
ただ、本作に関しては反戦・反核といった明確なイデオロギーは感じない。核戦争による終末を描いてはいるが、あくまでも「人間の愚かしさ」の方に主眼が置かれていて、他の作品とは異なる性質を持っている。
■表現について
2005年、今から13年前の作品となる。最近では作詞にはいる時点でかなり明確な意図をもって構成をしている様子がインタビューから伺える。その今と比べると、本作の歌詞には系統の違うちょっと浮き上がったような歌詞が混在していて、イメージ自体を探しながら作っている様子が伺える。作詞に対する姿勢やスキルがずいぶん変化している点を味わうのも一興である。
■雑感
SHOXXのインタビューに「メッセージ性を詰め込み、表現しました」と語っているように、麗の書いた曲のイメージを膨らませ、メッセージを付け足したといった感じなのだろう。どこか遠い場所で起きた出来事、いわゆるSF映画を見た後のような読後感がある。
作詞者は『REAL ROCK 01』(『ROCK & READ』創刊号)で生い立ち問われた際、「ターミネーター」を見て育った世代であることを語っている。この映画は「核戦争後の世界で反乱を起こしたAIにより、人類が絶滅の危機を迎える」設定で描かれている。「三つ子の魂百まで」じゃないけど、作詞者の歌詞のイメージ形成に影響を与えているかもしれないなというのが個人の感想。
====補足説明===
■語彙
▼痩せ焦がれた
「痩せこけた」ではなく「焦がれた」ということは飢餓で痩せたのではなく、核の放射熱で焼かれたことを意味する
▼老いた皮膚
原爆で焼かれケロイド状態になった皮膚を文字数の関係でこう表現したのであろう。
▼「水の無い海の魚」
自分で泳げない魚=自分で考えない、行動できない愚鈍な人間
▼「蛇革で出来た雛の■」
「威嚇しあう弱虫ども」
◯「蛇革」:蛇革のいかつい格好→核武装
蛇皮ではなく、蛇革を当てている。(革には「カワ」の他に「カク」の読みがあり、「かく=核」の意味を含ませている。
※「赫」「蛇革」に「カク」という読みが共通の隠しワード
◯「雛の■」:雛→弱虫、■=強がり、虚勢
インタビュー※によると「雛の◯◯」らしく、■は二文字らしい。字面がかっこよくなかったので■にしたという。意味的にも「自由に捉えてくれれば」と思っていますとのこと。
※SHOXX 2005年4月号 vol.146
▼油なしじゃ燃えぬ太陽
「太陽」は核融合反応で光とエネルギーを発してるガス体なので、「核」の隠語として使っているのだろう。(原爆は核分裂反応を利用しているので原理は逆なのだが同じ核反応ということで)
基本核反応に油は必要ないが「油なしじゃ燃えぬ」とはつまり「火に油を注ぐ人間が扱う太陽=核兵器」という意味で人間に対する皮肉も含んでいるのだろう。
核を振りかざして国際的地位を優位にしようとする国を虚勢を張る弱っちい国だと揶揄している。
▼冷たい風とどす黒い雨
「黒い雨」とは言わずもがな原子爆弾投下後に降る放射性降下物を含んだ「黒い雨」をさす。黒い雨は風に乗って放射性物質を撒き散らし被害を拡大したとされる。
▼呼吸すら忘れてる 赤黒い抜け殻の絨毯
原爆の照射によって火膨れ血まみれになった焼死体が折り重なる焼け野原。「呼吸すら忘れている」というのは原爆の照射により「自らに何が起きたかも知らぬまま」惨たらしく殺されている状態を表している。
▼再生の朝
核によって人類が滅びることで地球が再生する
(余談)
核による人類の滅亡と地球の再生とは「核の冬」のことを言っているのか。氷河期ってのは地球の歴史上数回あるが、実はそれは核戦争によってもたらされた「核の冬」だったんじゃないかという仮設も一時期流行った。
人類は同じ過ちを繰り返すアホで有害な生物という皮肉。
◯「Nuclear Winter(核の冬)」
1984年にカール・セーガンらによって提唱された現象で、核戦争により地球上に大規模環境変動が起き、人為的に氷河期が発生するという学説。
神戸のセトリに「赫い鼓動」が入ってたのを見て
そういえば、「赫い鼓動」の歌詞解釈的なものして記憶があったので下書きを掘り起こしてみた。
2012年の7月にあった。
リリースから5年以上のこの時に
なぜ書こうって思ったのか?と思い返してみたら
2012年ヘテロツアーで演奏されたのがきっかけだったなと・・
■the GazettE 「赫い鼓動」アーカイブ
2005年 7会場
Tour 2005 [gama]the under ground red cockroach
2008年 7会場
TOUR 2007-2008 STACKED RUBBISH [Pulse Wriggling To Black]04
2009年 1会場
Live09 A HYMN OF THE CRUSIFIXION
2010年 3会場
TOUR10 NAMELESS LIBERTY SIX BULLETS 02
2012年 2会場
STANDING LIVE TOUR12 -HERESY PRESENTS- HETERODOXY
2017年 2会場
HERESY LIMITED STANDING TOUR17 "大日本異端芸者”暴動区愚鈍の桜"追加公演
2018年 1+n会場
Live Tour 18 THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-
2005年 7会場
Tour 2005 [gama]the under ground red cockroach
2008年 7会場
TOUR 2007-2008 STACKED RUBBISH [Pulse Wriggling To Black]04
2009年 1会場
Live09 A HYMN OF THE CRUSIFIXION
2010年 3会場
TOUR10 NAMELESS LIBERTY SIX BULLETS 02
2012年 2会場
STANDING LIVE TOUR12 -HERESY PRESENTS- HETERODOXY
2017年 2会場
HERESY LIMITED STANDING TOUR17 "大日本異端芸者”暴動区愚鈍の桜"追加公演
2018年 1+n会場
Live Tour 18 THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-
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